Adam Curtisが語る、自己表現の危険性について
序章
Adam Curtisは、社会の上部構造を追究したドキュメンタリーを手がけるBBCのジャーナリスト。BBCアーカイブ映像のモンタージュ、感情やユーモアを引き起こす素晴らしい音楽、権力や自身に対して疑問を投げかけるCurtisの探究心あふれたナレーションは、独特のフィルムメイキングを表している。
会話
Adam Curtisが語る、自己表現の危険性について
アートは良いものですし、自己表現は素晴らしい。それに反するのは、政治活動の代わりとするもの、それによって権力に挑み、世界を変えようとするような代用品です。
アートは、その時代の世界とそのムードを抽出し表現するための、とても良い手段です。画家たちが描いた、19世紀の悪徳資本家の妻やその家族らの絵は、当時の様子を非常によく物語っています。
1970年代前半からは転換期が訪れ、自己表現が新しい政治となりました。自己表現が世の中の悪に挑戦する新しい方法となったのです。しかしそうはなり得ないのです。実情、この世の中全体が自己表現に基づいているからです。
もしかすると、世の中に対する見方を変える、先鋭で新しい方法があるのかもしれません。先入観にとらわれているが故にまだ見えていない、斬新、かつ刺激的な方法が。いつの時代の人々も、50年後に過去を振り返った時に、「あの頃は皆、なんて体制順応的だったのでしょう」と、深く信じているところがあります。1930年代のバーにいる男性の写真を見ると、皆全く同じ洋服を着て、同じ帽子をかぶっています。 私たちは自己表現について振り返ったとき、それが我々の時代における調和の悲惨な消滅だと考えるかもしれません。しかしそれが悪いという意味でもなければ、偽りなわけでもありません。全員がそうするようになったので、何の意味があるのでしょう?あらゆる人が毎日自己表現をしています。
私たちは皆、自己表現しているのです。これが現代への順応です。振り返って見た時に言うでしょう。「なんと!30年代に全員が同じ帽子をかぶっていたのと似た様に、この人たちは皆、自己表現をしていた」と。
そこが我々に見えない部分です。アートを創作したいと思う人に、するなというわけではないですが、彼らは先鋭なアウトサイダーではありません。ヒップスター的にクールなアウトサイダーではないのです。それ(自己表現)が、すべてなのです。単なる順守です。
Essential Adam Curtis:
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The Century of Self — The four episode series explores the rise of individualism and capitalism through Freud and the invention of PR.
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The Power of Nightmares — Politicians realize that people no longer believe in their promise of a better world, so instead they scare us with nightmares.
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All Watched Over by Machines of Loving Grace — Hippies and technology.
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It Felt Like a Kiss — No narration, his trippiest work.
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HyperNormalisation — His newest. Why the world doesn’t make sense.
- Name
- Adam Curtis
- Vocation
- ジャーナリスト
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追記
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