May 30, 2018 -

As told to Katy Diamond Hamer, 148 words.

Tags: Art, Inspiration, Process, Success, Creative anxiety.

悪戦苦闘しながらベストを尽くすこと

アーティスト、村上隆とのインタビュー
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最終プロジェクトにたどり着くまで、色彩の選び方にインスピレーションを与えてくれるものとは何ですか?また、普段のプロセスでは、いつもまず下書きを用意してから取り組んでいますか?

色や形に関しては、大抵は過去の自分の作品からインスピレーションを得て描き始めるのですが、今回のベーコンの作品については、彼が描いたオリジナルの絵画からインスピレーションをもらいました。なので、最初は彼の作品を真似ながら取りかかったんですが、そこから先をどう進めたらいいのかが分からなくなってしまって・・。色んな色を実験してみるために、表面に絵の具を付けてからそこにやすりをかけて滑らかにしてみたりもしました。なので、最終的な色合いにたどり着くためのコレという決まったやり方はないのですが、通常は過去の自分の作品をもとに選ぶことが多いですね。

多くのあなたの作品には、にっこりと微笑む花などハッピーなモチーフの要素が含まれているのですが、実際の作品そのものからはダークな雰囲気を感じます。商業主義や自然災害などのダークな要素に影響を受けているようですが、よろしければその点についてお話いただけますか?つまり、作品の鑑賞者側があなたの創り上げた世界に歓迎された形で引き込まれながらも、その世界の中にいざ入り込むと、予期しなかった別の要素を発見する・・といった点について説明していただけたらと思います。

私自身を含め、日本語でいう「オタク」の人達は、シンプルでありながら少し偏った形で世界を見ているので、その視点からも既にある種のダークさがあると思います。例えば、ジョージ・ルーカスのスターウォーズ エピソードIII では、アナキン・スカイウォーカーが完全に焼き尽かされ、手足もなくなり、まるで小さなミミズのように身をくねらせています。そしてその後彼はダース・ベーダーとなります。オタクにとっては、つねに世界に対してある種のダークな見方というのがあり、私の場合もそういった考え方が自然に染み出てくるんです。私の花関連の作品はとても人気があり、このタイプの作品では沢山のコミッションをいただいています。でも正直言うと、自分では退屈に感じてしまうことがあるので、そういった作品の作業からちょっと離れてみて、インスピレーションを受けるために他のモノに目を向け、また花の作品に戻る・・ということが必要な時もあります。

takashi-murakami-5.jpg HEADS↔HEADSからの村上隆の作品。ペロタン提供。© 2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.( 無断複写・転載を禁じます)

実は私はフランシス・ベーコンと彼の作品のファンで、特に彼の愛人であり、彼の作品の多くで被写体にもなっている、ジョージ・ダイアーとの関係を描写した作品が大好きです。ダイアーは薬物の過剰摂取で亡くなってしまい、それがベーコンを苦しめました。ジョージ・ダイアーは、あなたの作品の中でも再現された被写体の一つとなっていますが、あなたにとってもダイアーの存在が興味深いものだったと言えますか?

実は最初に、ベーコンへの敬意を表したオマージュという形で、私独自のキャラクター 「Mr.DOB」 を取り入れながら彼の作品を真似て作品を創りました。当時は、自分が人間の顔を描くということが想像できなくて・・・。(ギャラリー・ペロタンの展覧会でこのバージョンが見られます。)私の世代のアーティストというのは、ご存知の通りポスト・ポップアートの世代です。ジャスパー・ジョーンズは自身の作品の中で、彼独自のテーマやイメージを創り上げてしまわないことを目指していました。そのため、自分のイメージを取り入れないために、彼は旗を描き続けました。ウォーホルは、マリリン・モンローの画像を使って作品を作り、人々は既存のポスターを使い、それを芸術としました。結局のところ、自分でイメージを積極的に作り上げないことが主体となっているんですよね。

私の場合、日本の「カワイイ」カルチャーを背景に、この取り組みにアプローチしていったと思います。さっきお話したベーコンへの初のオマージュもなかなかの好評でした。当時の私は、絵を描くための形やフォームだけでなく、描く理由そのものを常にさがし求めていました。ベーコンからインスピレーションを受けた作品を2点作り、その後4年もの間このトピックには戻りませんでした。2016年も、私のアバターである Mr. DOB を作品内のフィギュアとして使い続けていたんですが、もう彼を使う必要はないのでは・・ということに気付いたんです。2年前からは、直接被写体の根源にアプローチし、人間のフィギュアや現実的な顔などを自分なりに解釈したものを描くようになりました。

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HEADS↔HEADSからの村上隆の作品。ペロタン提供。© 2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.( 無断複写・転載を禁じます)

実は、ベーコンの恋愛関係には特に興味はないんですが、彼の[秩序がなくて散らかり放題の]スタジオの画像を見たことがあります。それを見て、何か精神的な病気やある種の狂気を持った人だったのではと思いました。それとは逆に、私は自分のスタジオやスタッフに関して、整理整頓がしっかりした状態を常に維持しています。いつもピカピカの状態なんです。でもそれももしかして、ある種の心の病とか狂気の類なのでは?と思ってしまいます。何かがきちんといつもの場所になかったりすると、自分自身が機能できないという感じ。ベーコンと自分を比べてみて、どちらの場合も自分たちの脳の中にあるものを外面化しようとしていて、それが実現して初めて作品を製作できるようになるのではと思います。だから、彼のプライベートでの生活よりも、彼の脳がアーティストとしてどのように機能していたのだろうかということの方が興味深いですね。

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HEADS↔HEADSからの村上隆の作品。ペロタン提供。© 2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.( 無断複写・転載を禁じます)

あなたの作品は沢山の人の心に訴えかけるものがあり、それが作品自体をさらに特別なものにしていると感じます。同時に、あなたの作品はとてもパーソナルな、人間として、芸術家として、そしてこの世の中のスピリチュアルな実体としての独自の体験を反映させたもののようにも感じます。この私の受けた感覚は、正しいものだと思いますか?つまり、作品があなた自身を反映している、または、あなた自身が作品となっている、と思いますか?

そうやって受け止めてもらって、本当に嬉しいです。私は毎日24時間スタジオに居て、常に自分のベストが出せるよう悪戦苦闘しています。なので、そうやって私の作品を受け止めてもらえるのであれば、本当に苦労した甲斐があると思えます。そのようなコメントをいただいたり、そうやって作品を観察してもらえることがとても有難いです。というのも私は、アート作品というのがとても高価なものになってきている理由について、よく考えるんです。私自身でもアートを購入したりアート作品を眺めたりします。そして、芸術作品というのが、映画やコンサート等とどう違うのか、プロのアーティストとして自分の観客に何を提供すべきなのかを考えてきました。これまでに私は、自分にとってとても重要な存在となるアーティスト達にめぐり会ってきました。最初はウォーホルで、次にゴッホ。例えば、ゴッホの人生や彼の生き方というのにとても影響を受けました。私は、10年ほど前のまだ駆け出しのアーティストだった頃、実はピカソが好きになれなかったんです。そしてその理由をよく考えたりしました。アーティスト自身の個性が完全にキャンバスに転移して反映されている作品は、その価値が上がるように感じます。実現するにはとても困難なタスクですね。

8_MURAKAMI.jpg HEADS↔HEADSからの村上隆の作品。ペロタン提供。© 2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.( 無断複写・転載を禁じます)

これは、野球の試合を例えにして考えると分かりやすいです。野球選手が、ホームベースに数秒立った後にホームランを打ったところを想像してみてください。選手というのは、その数秒の間に何かを成し遂げるために、毎日欠かさず訓練しています。トレーニングし瞑想することで、他のプレーヤーや観客たちの音を遮断しようとします。選手たちは、自らの精神と体を鍛え、完全に自分自身を整理することで、自分が打者として本塁に立つその数秒の間に、体が自動的に瞬時に動き、素晴らしい結果を導くことができるようにするわけです。これは、アーティストについても同じことが言えるのではないかと思います。自分でその野球選手が到達するような、瞬時の状況を作り上げる必要があるのです。 だから、ただ単に何時間も筆で絵を描き続けるというだけではだめなんです。野球選手が到達するその「数秒」を生み出すことで、アーティストも何か新しいものを作り出す瞬間にたどり着くのだと思います。

私がこのような瞬間に遭遇できるのは、1年365日中、ほんの6日か7日くらいだと思います。でも、実際にその一瞬がやってくると、その後長年の間続くようなシリーズ作品のアイデアや、何年もの間引っかかって前に進めなかった問題への解決策などが突如ひらめきます。そのようなピュアな自分を引き出すことができる瞬間に出会えるために、毎日トレーニングしてその筋肉をエクササイズしていくわけです。そこから生み出された結果を、あなたや他の鑑賞者の方々が私の作品の中に見出してくれるのであれば、それまでのすべての努力もその価値があったと感じられます。

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HEADS↔HEADSからの村上隆の作品。ペロタン提供。© 2018 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.( 無断複写・転載を禁じます)

村上隆氏の人生の中で特に重要で大きな影響をもたらした5つのもの:

  • 銀河鉄道999 (テレビ化・映画化された漫画アニメ1977-1981年)

  • スターウォーズ (ジョージ・ルーカス、1977年)

  • 未知との遭遇 (スティーヴン・スピルバーグ、1977年)

  • 子供の時に観たベトナム戦争のドキュメンタリー

  • 子供の頃に繰り返し何度もみた、ロボットに追いかけられる夢。